新築するにあたり、畳を入れた方がいいのか迷う方は多いでしょう。
最近はフローリングの床が主流になっていますが、畳も畳ならではの良さがあるだけに捨てがたいものです。
そこで、この記事では新築に畳を入れることで得られるメリットや、畳を長持ちさせる扱い方などについて、お話しいたします。
新築に畳を入れておくメリットは多い
以前に畳のある家に住んだ経験をお持ちの方なら、ぜひとも新築にも畳を入れたいと思うでしょう。
実際に触れることで分かる魅力が、畳にはあります。
畳には、一般的に知られていないメリットがたくさんあります。
畳のメリットを最大限に活かせれば、新築の魅力が高まります。
畳に使われるイグサには優れた効果がある
畳には、一般的にイグサ(藺草)が使われています。最初は青々としていて、しだいにツヤのある飴色(あめいろ)へと変化していくのが、良いイグサの特徴です。
イグサはスポンジ状の構造をしていて、この構造がさまざまな良い効果を生み出します。
イグサは健康的な暮らしに貢献する
イグサには、ホルムアルデヒドなどの有害物質を吸着する効果があります。スポンジが水を吸い込むように、有害物質を除去してくれるのです。
ホルムアルデヒドとは、建材の接着剤などに含まれている化学物質です。
体内に吸い込む量が多くなると、健康を害してしまう恐れがあります。
新築したばかりのころは、屋内にホルムアルデヒドが多く漂っている場合があります。
そのため、新築に畳を入れるのは、理にかなっているといえるでしょう。
なお、イグサの香りにはリラックス効果と安眠効果もあります。
畳の匂いを嗅ぐと気持ちが落ち着くという点も、畳がもたらすメリットの一つです。

イグサが快適な室内空間をつくり上げる
畳には、屋内の湿度を自動的に調整する効果があります。
イグサのスポンジ部分に含まれる空気が、呼吸をするように水分を蓄えたり放出したりします。
加えて、イグサに含まれる空気は羽毛布団やダウンなどと同じような断熱効果も発揮します。
このように、イグサは調湿機能と断熱性能に優れているのが特徴です。新築に畳があれば夏は涼しく冬は暖かくなり、家の快適性が高まります。
畳のスペースは幅広い用途で使える
イグサのスポンジ状の構造は、衝撃や音を吸収する効果も生み出します。
そのため、畳の上は子どもを遊ばせるのに適しています。
子どもがとんだりはねたりしても、安全なうえ音もあまり響きません。
また、畳はアイロンがけの際にも役に立ちます。
床に座ってアイロンがけをするときに、足の負担が少なくなります。
さらに、畳に使用されているイグサは、足の微生物に対して抗菌効果があるため、通常時に比べ足の臭いの緩和も期待できます。
なお、新築に和室を設けた場合は、畳の上に布団を敷いて即席の客室とすることも可能です。
どなたかが泊まりにいらっしゃったときに、畳の部屋は重宝するでしょう。
このように、新築に畳を入れておくと、幅広い用途に使えて大変便利です。

畳を長持ちさせるための扱い方を知っておこう
畳には寿命があるといわれています。そのため、新築に畳を入れるのを、ためらってしまうかもしれません。
たしかに、イグサは扱い方を間違えると劣化のスピードが速まるので要注意です。ですが、新築直後から正しい扱い方をしていれば、畳は十分に長持ちします。
畳の上に重いものを置かない
家具などの重いものは、できるだけ畳の上に置かないようにしましょう。
畳がへこんでしまったり、表面が傷ついてしまったりするからです。
特に、机やイスのように脚の付いた家具を置くと、狭い面積に集中して負荷がかかるため注意が必要です。
設置するときは、必ず脚の下に保護マットを敷くようにしましょう。

イグサでできた保護マット。
違和感なく畳を守ることができるのでお勧めです。
引用:amazon|大島屋 イ草 座卓敷き 4枚入 (1枚あたり 約16×16cm)
ちなみに、タンスのような面積の広い家具を置いた場合は、あまり深いへこみはできません。
多少へこんだ程度なら、正しい処置を施せば元に戻すことができます。
ですが、タンスを置いた部分の境目にできる日焼けの跡は、やはり気になるかもしれません。
なので、畳の上に置く家具は最小限にとどめておきましょう。
湿気がこもらないようにする
家具を置いた跡を残したくないからといって、畳の上に大きな敷物を敷いてはなりません。
通気ができなくなって畳の内部に湿気が溜まり、畳にカビやダニが発生してしまいます。
ちなみに、畳の性質としてカビやダニが発生しやすいわけではありません。
しっかりと通気して湿気が出入りできるようにしておけば、カビやダニの発生は抑えられます。
心配な方は、換気やエアコン等による除湿も併せて行うとよいでしょう。
なお、冬の時期は窓が結露しやすいので、窓のそばにある畳は水滴に注意してください。
結露しにくいタイプの窓ガラスを選ぶなど、新築の際に対策しておくとよいでしょう。

必要なメンテナンスを行う
一般的には、数年おきに畳屋さんに頼んで畳をメンテナンスしてもらいます。
きちんとメンテナンスを行っておけば、畳の劣化スピードを遅らせることができるからです。
また、長く畳を使っていると、どうしても日焼けしたりイグサの香りが弱くなったりします。
畳を良い状態に保つためにも、数年おきにメンテナンスを行うようにしましょう。
ちなみに、メンテナンスが必要となる時期と費用の目安は、以下の通りです。
| メンテナンス内容 | 実施時期の目安 | 1畳あたりの相場 | |
|---|---|---|---|
| 裏返し | 畳表を裏返して畳床に張り直す※ | 使用開始から3~5年 | 3,500円~6,000円 |
| 表替え | 新しい畳表を畳床に張り直す※ | 「裏返し」から3~5年 | 4,000円~9,000円 |
| 新調 | 畳床も含めて一新する | 使用開始から10~20年 | 7,500円~20,000円 |
※同時に畳縁も交換します。

畳の各部分の名称。
引用:たたみ善|畳の基礎知識

なお、すでに触れた通り、畳は水に弱いため水ぶきをしてはいけません。
日常のお手入れには、畳用のほうきや乾いた雑巾などを用いるようにしてください。
新築直後から正しい方法でお手入れをしていれば、畳床の寿命を20年以上に伸ばすことも不可能ではありません。
洋風の新築に合う畳を探してみよう
新築の大部分を洋風にする場合、畳が建物の雰囲気と合わない可能性があります。リビングなどの一角に入れる場合は、周りのデザインとマッチした畳を選びたいところです。
そこで、新築に合う畳の選び方について確認してみましょう。
独立した和室には一般的な畳を用いる
敷地の面積が十分にある場合は、独立した和室を造っておくとよいでしょう。
客室や客間、家族の寝室といった、幅広い用途で使えるからです。
できれば6畳、少なくとも4.5畳のスペースが確保できるのなら、和室は十分に造れます。
ちなみに、独立した和室を造る場合は、一般的な畳を使うのがお勧めです。
一般的な畳は、後ほどご紹介する特殊な畳と比べて、コストパフォーマンスが優れているからです。
もし4.5畳以上のスペースを確保できない場合は、独立した和室を造ったとしても使いづらくなります。
なので、小上がり和室にするなど、ほかの部屋の一部として畳のスペースを造るとよいでしょう。
3畳くらいのスペースがあれば、小上がり和室を造ることは可能です。

小上がり和室の例。
間仕切りがないので、3畳でも狭さを感じません。
引用:東南角地でつくる最強の家づくり|WEB内覧会 ~畳コーナー編~
また、フローリングの一部を畳にする方法もあります。
用途が限られますが、家事や昼寝、子どもの遊び場として十分に機能します。

フローリングの一部を畳にした例。
段差がないので、つまづく心配がありません。
引用:株式会社かみえ工務店|和風×ナチュラルな空間 畳リビング&縁側のある木の家
ただし、一般的な畳は和の印象が強いため、目立つところに入れる際は注意が必要です。
そのため、リビングの一角などに畳を入れる場合は、色やデザインに凝った畳を用いるのがお勧めです。
リビングなどに入れる畳は色やデザインを大切にする
最近の新築は、大部分が洋風の内装になっています。そこで、畳屋さんもオシャレな畳作りに力を入れています。
たとえば、畳の縁(へり)にはカラフルなタイプがあります。
デザインに凝った縁を用いると、畳が持つ和の印象を弱めることができます。
ただ、縁をカラフルにしても、まだまだ和の印象が強いと感じる方もいらっしゃるでしょう。
そんなときは、琉球畳を用いるのがお勧めです。
琉球畳は縁のない正方形の畳で、洋風にも合うようなモダンな印象を与えることができます。

琉球畳を使った和室の例。
琉球畳には、和室をモダンな印象に変える力もあります。
また、最近はイグサの代わりに和紙を用いた和紙畳が注目されています。
和紙畳は水分や汚れに強く、カラフルなタイプが数多く出ているので、近年取り扱う畳屋さんが増えています。

和紙畳には、色のバリエーションが豊富に用意されています。
ただし、和紙畳には、普通の畳のようなイグサの香りや高い弾力性はありません。
和紙畳を選ぶときは、普通の畳との違いに気を付けてください。
新築に取り入れたい畳についてのまとめ
この記事では、新築に畳を入れることで得られるメリットや、畳を長持ちさせる扱い方などについて、お話しいたしました。
新築に畳を入れる場合に知っておきたいのは、以下の3点です。
- 機能性に優れていて多目的に使える畳が新築にあると便利
- 新築時点から扱い方に注意していれば畳は長持ちする
- 洋風の新築にも合う畳がある
なお、実際に畳を入れたいと思ったら、事前に畳屋さんへ相談してみましょう。
畳に関する悩みを確実に解消できるのは、やはり畳屋さんをおいて他はありません。
最近は自社のサイトを使って情報発信に力を入れている畳屋さんも多いので、ぜひ「畳屋 ○○市」で検索してみてください。
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